太陽フレア で通信障害 がなぜ起きるのか?

2024年5月8日から10日にかけて最大クラスの太陽フレアが5回発生したというニュースがありました。

太陽フレアは、太陽の表面で突然発生する爆発的なエネルギー放出現象。
太陽の磁場が絡み合い、解きほぐされる際に大量のエネルギーが解放されることで起こります。太陽フレアは、可視光やX線、紫外線などのさまざまな波長の放射線を放出し、しばしば太陽コロナの周りを明るく輝かせることがあります。
太陽フレアが地球に与える影響はさまざまですが、具体的な影響をまとめると以下のものがあります。

通信や電子機器への影響

衛星通信

太陽フレアが発生すると、地球の上空にある通信衛星が影響を受け、通信の乱れや一時的な停止が発生する可能性があります。

電力網

大規模な太陽フレアが地球に影響を与えると、電力網にも影響が及び、停電や電力供給の乱れが生じることがあります。

航空交通への影響

GPS

太陽フレアがGPS衛星に影響を与えると、飛行機の航法システムにも影響が及び、正確な位置情報の取得が困難になる場合があります。これにより、航空交通の安全性や正確性に影響が出る可能性があります。

通信

航空機と地上の通信にも影響が及び、航空管制システムの正常な運用に支障をきたすことがあります。

地球の磁場への影響

オーロラ

太陽フレアが地球に影響を与えると、地球の磁場と相互作用し、極地域で美しいオーロラが発生することがあります。これは、太陽風が地球の磁場によって誘導され、大気中の分子や原子が励起されることによって生じます。オーロラは、北極圏や南極圏でしばしば観測されます。

2024年5月8日に太陽フレアが観測されて通信障害など懸念されていますが。
太陽フレアによって通信障害が起きる理由を詳しく掘り下げてみます。

太陽フレアで通信障害 がなぜ起きるのか?

太陽フレアが通信障害を引き起こす主な理由は、太陽フレアが地球大気に影響を与え、電離層の状態を変化させるためです。
通常、地球の大気中には電離層と呼ばれる層があります。この層は、高エネルギーの太陽放射線によって分子や原子が電離され、自由電子とイオンが存在する帯電した状態で、電離層は、ラジオ波や電波を反射・屈折させる役割を果たし、長距離通信や無線通信に欠かせない要素です。

太陽フレアが起こると、太陽からの高エネルギー粒子が地球に向かって放出されます。これらの粒子が地球の大気に衝突すると、電離層の密度や組成が変化します。この変化によって、通信信号が散乱されたり、通信経路が変化したりすることがあります。具体的には、以下のようなメカニズムが通信障害の原因となります。

1. 信号の散乱

太陽フレアによって電離層が乱れると、電波が大気中で散乱されやすくなります。これにより、通信信号が目的地に到達する前に広範囲に散乱され、信号の劣化や途切れが生じます。具体的には、ラジオや衛星通信などの長距離通信が影響を受けます。

2. 折の変化

電離層の状態が変化すると、通信信号が通常よりも強く屈折されたり、逆に反射されたりすることがあります。これにより、通信信号が予期せぬ方向に向かったり、通信路が不安定になったりする可能性があります。たとえば、航空機や船舶のGPSシステムが位置情報の取得に失敗することがあります。

3. 信号の遮断

太陽フレアによる電離層の乱れは、通信信号の一部または全体を遮断する可能性があります。特に、高周波帯域の通信や無線通信が影響を受けやすいです。これにより、電話やインターネットなどの通信が一時的に利用できなくなることがあります。

具体例として、2003年の太陽フレアによる通信障害がありました。
このフレアは、日本の通信衛星「SUPERBIRD-C2」に影響を与え、一時的な通信障害を引き起こしました。
衛星通信は地上の送信局と衛星の間を信号が行き来する仕組みであり、太陽フレアによって通信経路が不安定化し、信号の品質が低下したため、通信が一時的に中断されたのです。

太陽フレアによる通信障害は、電離層の変化によって通信信号が散乱・遮断されることによって生じます。これは、長距離通信や無線通信などの広範な通信システムに影響を及ぼし、一時的な通信の中断や品質の低下を引き起こす可能性があります。

太陽フレアによる通信障害は防げるのか?

太陽フレアを防ぐことはできません。
通信障害を防ぐには、通信ルートを複数用意し、太陽フレアによって1つのルートが影響を受けた場合でも、他のルートを使って通信を維持するというぐらいしかないでしょうね。